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第四報         2024年4月号
 
 
【2024年3月にイタリアツアーを行いました】
 
「名護屋帯」舞:鶴女 唄と三絃:小原直(録音) 色留引き着に日本髪
「松づくし」舞:鶴丸もしくは鈴女 唄と三絃:鶴女もしくは鶴丸 色留袖 
質疑応答 一般向けではイタリア語↔英語↔日本語で通訳 
ワークショップ 大学では「上方と江戸文化の違い」「三味線についての説明」
一般向けでは「体遣いのワークショップ」「着物と三味線の説明」
「珠取り」 舞:鶴女 唄と三絃:小原直(録音)黒留引き着に日本髪
 
3月5日 [サピエンツァ ローマ大学]《ローマ》
参加者 20名程 日本語で実施 (授業内にて実施)衣裳は色留袖のみ
人数が少なかったので舞扇を実際に触って頂いたり、個別にご質問を頂いたりしました。
 
3月6日 [エリス・スポーツ学校]《ローマ》
参加者 50名程 イタリア語で実施 
一週間前に急遽決定したため、参加者は直前まで練習していたサッカー少年と
その家族。一曲目を舞っている間にどんどん人が減り、二曲目が終わった時には
十数名になっていました。しかし、その十数名が非常に熱心で、質疑応答では
他の会場と同じく十問程の質問があり、体遣いのワークショップも数名が積極的
に前に出てきて参加してくれました。多くの方の興味を引くことができなくても
できる限り本質に近いものを心掛けることの大切さを学びました。
 
3月8日 [フィレンツェ大学]《フィレンツェ》
参加者 85名程 英語で実施 衣裳は色留袖のみ
参加者のほとんどが二十歳前後の学生のため、好奇心とエネルギーに満ちた時間
でした。質疑応答の反応も素直な感想が多く、三味線の縦書きの楽譜に興味を
持った学生、「珠取り」の台詞に驚いた学生、着物の紋に興味を持った学生など、初々しい質問にあふれていました。
 
 
3月9日 [Gマリオット・スポーツ施設]《ラ・スペツィア》
参加者 165名程 イタリア語で実施
ローカルテレビや新聞でインタビュー記事を掲載してくれていたため、多くの
方がご来場くださいました。「武道に通じるものを感じた」「芸者の舞との違い」
「劇場で行われなかった理由」など日本をよくご存知だからこその質問も多く
寄せられました。年齢も男女比も偏りなく参加頂いていたのですが、ワーク 
ショップのために客席から降りてきてくれたのが全員女性だったのは「舞」は
女性がするものと思われたためかもしれません。次回への課題がみえました。
 
3月10日 [チヴィカ・ソンドリオ市民芸術学校]《ソンドリオ》
参加者 70名程 イタリア語で実施
こちらもローカルテレビや新聞でインタビュー記事を掲載してくれました。 
参加者は靴を脱いで会場に入りリラックスしておられたせいか、非常に濃く 
暖かいイベントになりました。下駄は「私も」「私も」と試し履きを希望する
方があとを絶たず、終了時間が午後十一時頃まで延びましたが、八十代の女性
をはじめ皆様の笑顔が忘れられません。アンケートでもイベントの全ての内容
を楽しんでくださっていたことが伝わってきました。
 
3月11日 [在ミラノ日本国総領事館]《ミラノ》
北イタリア二か所のイベントをご後援下さった総領事館にご報告に訪問しました。鍋島副総領事がご対応下さり、「今後の活動についても相談して下さい」とのお言葉を頂戴しました。
 
これらは全て安達幸子様とご友人様、鶴女のイタリアの友人達の協力なしには達成しえなかったことです。心から感謝しています。また、多くの助成や後援が得られたのも法人格を有していたからです。当法人をご支援くださっている皆様に感謝申し上げます。
助成:東京都歴史文化財団による助成(全行程)
後援:在ミラノ日本国総領事館(ラ・スペツィア、ソンドリオのみ)
後援:ラ・スペツィア市、イタリア合気会、道場ニッポン(ラ・スペツィアのみ)
後援:ヴォーチ・ソスペーゼ合唱団(ソンドリオのみ)
 
【お浚い会『桐の実会』のご案内】
出演者の手持ちの着物での素踊りですが、それぞれの個性が楽しい会です。 今年は三絃の生演奏の舞い地もお楽しみ頂きます。 ご都合宜しければ、是非ともお運びください。
 4月28日日曜日 午後2時半より  代々木能舞台(初台より徒歩5分) 入場無料
 
                        
 


 

 
第三報         2023年9月号
 
2024年3月にイタリアツアーを行います】
基本的に舞3番とワークショップを行います。
 
訪問先 ローマ大学日本語学科
    フィレンツェ大学日本語学科
    私立小学校にて低学年クラス
    ラ・スペツィアのイタリア合気会所属道場の協力(一般の方向け)
    ソンドリオ(ミラノ北部)にて現地合唱団の協力(一般の方向け)
 
・ローマ大学、フィレンツェ大学は日本語学科の学生対象なので日本語で行いますが、 ラ・スペツィアおよびソンドリオでは、一般の方が対象ですのでイタリア語で実施します。
現在ワークショップの原稿を辞書をひきながらイタリア語に翻訳しており、それを暗記してワークショップを行いたいと考えています。
拙いイタリア語でも、通訳を介さない方が伝わると思うので、どこまでできるかわかりませんが、頑張ります!
 
地唄三味線(三絃)も持って行って弾きます。
生の三味線の音をイタリアの方に聴いて頂きたいのですが、演奏家さんをお連れする予算がございません。
そこで、渡伊メンバー全員が三味線を稽古することにしました。
一曲だけでも生演奏の舞い地で舞をご覧頂くべく、頑張ります!
 
 
・裾を引いた衣裳、和化粧に日本髪の半鬘の支度で行う予定です。
全ての支度を自分達だけで行います
裾引きへの着替えも、着付けを見て頂きながら着替えを行う予定です。
 
 
このように、今回のイタリアツアーでは、
舞の稽古三味線の稽古化粧や鬘の下地、着付けの稽古イタリア語原稿の作成と暗記など、さまざまな準備を行ってチャレンジします。
 
・全て自費での渡航および滞在のため、鶴女および同行者3名を含めた全4名分の費用の助成を東京都歴史文化財団に申請中です。
結果は12月に通達されます。採択されることを祈っています。
 
 
【国際文化理容美容専門学校にての和化粧講習】
・国際文化理容美容専門学校渋谷校にて和化粧講習を開催して頂きました。
メンバーの一部の者が和化粧の基礎を勉強させて頂きました。
イタリアでの支度にはもちろんのこと、今後の有料公演などにも生かせることと存じます。
 
 
【次回の『桐の実会』】
・2024年春に「桐崎地唄舞稽古会」および「日本橋地唄舞の会」のお浚い会『桐の実会』を予定しています。
出演者の手持ちの着物での素踊りですが、それぞれの個性が楽しい会です。 
今年は三味線(三絃)の生演奏で舞をご覧頂くべく、10名超の門下生と関係者が小原直先生ご指導のもと、お三味線のお稽古に励んでおります。
一部の者はイタリアでも演奏します。
ご都合宜しければ、是非ともお浚い会『桐の実会』にお運びください。
 
 2024年4月28日日曜日 午後
 場所:代々木能舞台(初台より徒歩5分)
 入場料:無料 (ただしご予約をお願いしています)
 出演者数:二十名強
 


 

第一報         2023年3月号
 
この度、一般社団法人 座敷舞桐崎会を設立致しました。
「伝統」という言葉が重々しく扱われ日常からかけ離れていきつつあるこの頃ですが、私達の先人たちが楽しんでいた豊かな世界はつい先ごろまで当たり前にすぐそばにありました。舞も今よりももっと生き生きとした心浮き立つものだったと思います。
劇場での公演にこだわらない等、様々な形で舞が振り付けられた時代である江戸・明治の空気を探り続けていますが、現代では簡単なことではありません。私達は幼いころから靴を履いて歩き西洋音楽に合わせてお遊戯をして育ちました。身体の扱い、呼吸や間合いは物事の捉え方にも影響します。だからこそ、「意識して」先人たちに学ぶことが大切だと考えています。
先人たちが残してくれた私達の中にあるはずの素敵な部分を見つめ直して育てていくこと。仲間とそして皆様と、垣根や壁を超えながら試みていきたい。その輪が少しでも広がれば。
宜しければ是非とも私どものホームページをご覧くださいませ。
  
  
【活動予定】
・「桐の花会―舞とワークショップー」開催 
  5月21日(日)十四時半~ 於:京都ちおん舎(京都市中京区)
  地唄舞「蓬莱」舞:珠鶴、唄と三味線:久保浩助 
  ワークショップ:鶴女
・今年秋 海外遠征を模索中
 
【賛助会員募集】
一般社団法人座敷舞桐崎会では応援してくださる賛助会員を募集しております。何卒宜しくお願い申し上げます。
会員活動:「桐崎会だより」等配布、会員の集い、企画イベントのお誘い等
法人賛助会員 一口 十万円/年   個人賛助会員 一口 五千円/年
 
【ささやき】
先日、お稽古のあとに陽鶴さんと西洋人と日本人の物の感じ方について語り合うことがありました。陽鶴さんのお話では、渡部良典教授の「応用言語研究入門」の授業にて、川端康成の「雪国」の冒頭部分を日本人と英語圏の方に絵に描いてもらった話が印象的だったとのことでした。『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』皆様はどんなシーンをイメージなさいますでしょうか。渡部教授によると、日本人の絵は暗いトンネルから明るく白い世界が眼前に広がっているものが多く、英語圏の方の絵は列車がトンネルから出てきた様子を俯瞰して描いたものが多かったそうです。この違いはどこからでてくるのでしょうか。言語学の先生は言葉の構造から考察されたそうですが、体の主体性の違いという点から考えるのも一興ではないかと思います。
ドイツ人禅僧のネルケ無方さんは「西洋人は頭の中で考えて、実践は別。聖書を学んでも学校は実践の場ではない。日本の学校は自分たちで掃除(作務)をする」というようなことを仰っていました。確かに「理屈よりも体で覚えろ」とか、職人の修業などでもマニュアルではなく「盗んで覚えろ」とかよく耳にします。それらは将来性のためである面が大きく身体の主体性の問題とは思っていませんでしたが、ネルケさんの指摘を知ってからは違う視点でも考えてみたいと思うようになりました。
私も舞のワークショップを行った時、日本ではまず体験して後から説明した方が理解して頂き易かったのですが、リトアニアではその方法ではうまくいかず、先に説明を求められました。理屈を理解する方が先か、体で考えるのか、という体の主体性の違いを感じました。日本には「腹を決める」「肝が据わる」等体感を伴う言葉が多くあるのも「腑に落ち」ました。理学療法の博士によると日本人の上半身は西洋人に比べて柔らかいそうなので、そういう点も内蔵の感性に影響しているのかもしれません。舞でも結構上半身を柔らかく使います。掘り下げていくと面白い気づきに繋がるかもしれないですね。                 (鶴女)